就職・転職活動を行う際、必ず必要になるのが志望動機。なぜその企業に入社したいのか、入って何がしたいのかということを伝える必要がありますよね。当たり前の基礎部分に見えますが、意外とこれが難しくて、「そんな難しいこと考えてないんですけど…」という人も多いはず。
特に転職活動となると、「(前の)会社を辞めること」が大前提で、試験を受ける新しい会社への想いはそんなに強くないのではないでしょうか。
しかし、志望動機は絶対必要。しかも嘘はすぐバレると思った方が良い、でしょう。
私自身、所属する企業で採用担当として、新卒・中途計500人以上の入社希望の方とお話しして感じること、学んだことがたくさんありました。
履歴書に書いたり、面接で伝えたりする「志望動機」をどのように組み立てていけば良いか、一緒にみていきましょう。
目次
志望動機をうまく伝えるポイント4つ
転職の目的を明確に整理
「前の仕事が嫌でやめて、適当なところを探していました」「休みも給料もそこそこよかったので御社を希望します」。すごく正直な気持ちを伝えていますが、どう考えても採用されませんよね。
最初は「どこか良さそうなところを…」レベルで探した企業も、試験を受ける以上は具体的に目的を設定すべきです。ここがブレると全てが台無しといってもよいでしょう。
大切になるのは「退職理由」「新しく挑戦したいこと」「企業のビジョンとニーズ」がうまくマッチしていることです。
例えば、「現在は企画・開発の仕事しているが、実際に顧客の声が聞ける営業もしたいと思うようなった。しかし、今の会社ではそういったポジションがない。営業マンが商品開発に携わっている御社であれば、顧客の生の声を広いながら、市場のニーズに応えた商品開発ができると感じた」
といった具合です。
転職を決意するに至った流れを論理的に説明できるようにしておくと良いでしょう。
自分のキャリアのPRを盛り込む
新卒のPRであれば「私はボランティア活動を通じ…」とか「サークルでリーダーを務め…」などといったPRをする人もいるかと思います。しかし、転職となるともう少し実践的な経験のPRも欲しいですよね。
「○○を作ってきた」「○○を売るために毎日○○人のお客様に会っていた」「社内の○○を改善するために、○○に携わった」など。
こいった自分のキャリアが、転職先で求められる経験やスキルと完全に一致するのが一番良いですが、なかなかそういったこともないでしょう。直結していなくても、共通点や活かせる点を見つけ出して盛り込むことが大切です。
適応力をアピールする
スキルや経験が十分でも、これまでの常識や、実績に基づくプライドなどが邪魔をして、新しい職場に馴染めない人も珍しくありません。人事担当者は、中途採用をする際にそういったコミュニケーション能力も注視しています。
新しい環境を謙虚に受け入れ、新しい仲間から様々なことを学んでいく姿勢をPRしていくことも重要です。
ポジティブな姿勢
面接の際に、前の職場の悪口や愚痴が話のメインになっていないか、「○○が嫌だから」が転職の理由になっていないか、気をつけなければいけません。実際はそうだったとしても、です。
欧米で転職が当たり前に捉えられるのは、それが収入アップやスキルアップといった前向きな姿勢だからです。もちろん全員が全員そうではありませんが。
実際のところ、転職はさまざまな理由が絡んでいるため、前向きなことだけではないですよね。でも、履歴書や面接でどの点をピックアップして、どんな言葉で説明するかということは気をつけなければなりません。「嫌だったこと、やりたくなかったこと」ではなく「やりたかったこと、新たな目標」といった方向から説明するだけで、随分と印象が変わりますよね。
愚痴や文句が目立つ人だと、「うちに来てもこんな感じなんだろうな」と人事担当者は受け止めてしまいます。
NG事例は知っておこう
NGといえば少し言葉は強いですが、人事担当者が「?」となりがちなポイントを挙げておきます。
自分の思いが前面に出すぎ 転職先のニーズを把握できていない
企業がなぜ新しい人材を募集しているのか、どんな人材を求めているのか。事業内容はもちろん、そういった点もよく知った上で自己PRしていく必要があります。
「お客様の声を第一に」というスタンスで営業マンを募集している企業で、「自分で納得のいく商品にこだわって、自信を持って売っていきたい」とPRしても、「この人はなんか違うな」となってしまいます。
具体的なことが伝わってこない
「粘り強さを生かして、あきらめずに取り組めます」「好奇心旺盛で挑戦する気持ちは負けません」。
これはこれで、その人の性格やキャラクターを前向きに伝えられるため、すごく良いのですが、PRがこれだけで終わってしまう人もいます。ともすれば「体力勝負や積極性だけなら給料の安い新卒を取った方が良い」という結論にいたってしまします。転職であれば、もっと具体的な経験や実績を出して、転職先ではどんな役に立てるのか、というアピールが必要になってきます。
説明がマニュアル的すぎる
よく面接で耳にする「御社の理念に〜」「御社の商品は〜」というフレーズ。企業理念や販売商品をよく知っておくことは必要ですが、「HPにこう書いてありました。私はこう感じました」で話が終わってないでしょうか。担当者からすると「で?」となります。
前述したように、転職ではこれまでの経験やスキルに注目がいきます。理念や商品を理解した上で、「自分の強み」をうまく話に混ぜて、相手に納得してもらう必要があるのです。この論理に違和感を感じると「テンプレの一部を差し替えて、何社にも希望を出しているんだな」と簡単に気づかれてしまします。
辞める気満々
現状に加え、将来のビジョンを伝えることはとても大切です。ただ、中には「起業・独立を前提に」といった将来像を描く人もいます。それが転職先のニーズに合っているか、は一度冷静に考えてみましょう。独立を目指していても、それを今この時点でPRの中に盛り込むべきなのか。「退職するタイミングを今こう考えています」といった話をする必要性があるかどうか。
業種や採用方針にもよりますが、「数年で辞める気満々じゃん」というのはやはりマイナスイメージでしょう。
具体的でスムーズな対策としてエージェントを使う手も
採用試験はある意味、自己プロデュースをいかに上手く行って、相手に伝えるかという作業です。魅力的で誰にでも分かりやすい実績を作ってきた人ならまだしも、多くの人が「自分の実績ってなんだ」とか「自分には特別な強みなんてない」とか、自己PRに悩んでしまいます。
決して嘘をつくわけではなく、自分のキャリアや強みをどう魅力的に伝えるか。自身の振り返りだけでなく、客観的な視点を持つプロと一緒に「志望動機」を作り上げていくのも一つの手です。
転職エージェントサービスを行う企業では、応募書類の添削、面接対策をはじめ、気になる企業のリサーチなど、さまざまなサポート行ってくれます。
まとめ
「前の会社」→「新しい会社」のストーリーに一貫性があって、前向きで意欲的であること。そのストーリーを自身の思いや強み、企業のニーズをマッチさせて説明できること。それが大切ですね。話が断片的ならないように、誤解が生まれないように、プロと一緒に自分の物語を作ることも検討してみましょう。